嶋田清詩集 『生きるんだ』

あふれる向日性を支える感受性・叙情

洲 史

 
「初恋」のナィーブな感性。教員として子どもたちに呼びかける詩群は伸びやかで気持ちが沸き立つ。
 自然を題材には違う面を見せてくれる。アンネ・フランクの薔薇の花弁に見惚れながら〈でも、美しい茎、美しい葉、美しい根/それを謳うことを忘れないでおくれ〉と〈萌え出てくる〉茎葉根の美しさを讃える。納得のいかない名前をつけられた草たち、雑草たちとともに「生きるんだっ」と訴える。懸命に生きてる動植物への叙情豊かな励ましには既に社会性がある。
「映画をみたい!」からは、生活のなかから人生や社会の詩10編。深刻な現実の前でも伸びやかな言葉ぶりは変わらない。最後は「もう一ぺん、海へいぐで!」
 全体を通して、あふれる向日性が魅力的だ。支えているのは豊かな感受性と叙情だ。〈詩集を10冊出したい/中略/平和な社会を築きたい〉と願う詩人は詩の題名の通り「まだ まだ 若い」。10冊の詩集への第一歩、嶋田清さんの処女詩集。
(詩人会議出版 1200円)
改めて詩集データ

 詩集名  「いきるんだっ」
 作者   嶋田 清
 
 
 出版会社 詩人会議出版
 頒価 1200円


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